エックス線(X線)・放射線に関すること(8)放射線の生体に与える影響

コラム

(1)自然放射線と人口放射線被曝

通常日本人は宇宙線などの自然界から受ける年間平均被曝線量は2.4mSv、世界で一番自然放射線が強いといわれているブラジルのガラバリ地方では年間10mSv、胸部X線写真撮影1回で0.05mSvといわれています。

その他の各種被曝量は次のとおりです。

(2)外部被曝と内部被曝

放射線の人体に及ぼす影響を考えるとき、外部被曝か内部被曝かによりその影響は大きく異なってきます。

外にある放射能から放出される放射線を受けることで、

放射線は体内の細胞等を破壊して人体に影響を与えますが、放射線の防護策を施せば内部被曝のような連続的な被曝を避けることができます。

 

これに対し今ニュースでも耳にしない日は無くなりました「内部被曝」とは、

飲食物の摂取、呼吸、外傷・粘膜等から放射能その物を体内に取り込んでしまうことをいいます。

体内に侵入した異物は通常排泄物として体外に排出されますが、放射能は種類によって特定の臓器に沈着しやすい性質を持つものがあります。

例えばヨウ素は甲状腺、ストロンチウムは骨というように決まっていて、これらの臓器を決定臓器といいます。また放射能が物理的に半減する時間のことを「半減期」というのに対し、体内に侵入した放射能が決定臓器を経てその半量を体外に排出する時間のことを「生理的半減期」といい、決定臓器に長時間沈着するものほど生理的半減期が長くなり身体的影響・遺伝的影響が大きくなります。

(3)放射線の人体への影響

被曝した当人の身体に現れる障害と、当人及び後続世代に現れる障害があります。

(4)放射線防護の考え方

放射線による身体への悪影響から安全を確保することを「放射線防護」といいますが、 国際放射線防護委員会(ICRP)は、こうした放射線の影響を防ぐための措置や防護の基本的な考え方や指針を勧告しています。

 

放射線防護体系は

(1)「行為の正当化」

放射線被ばくを伴う行為の結果得られる便益が、被ばくによる損害より大きくなければならない。(福島の事故がある前までは、私たちは 原子力による恩恵を得られて来ましたが、それらは現在の被害状況より上だったでしょうか? 今後の原発の方向性はわかりませんが、この原則に基づき熟慮が求められるのだと思います)

 

(2)「防護の最適化」

(1)の行為に対して被ばくを抑えるために対策を講じるが、被ばく線量、被ばく者の数、必要な費用等を勘案して、合理的に達成しうる限り低く抑える。これをALARA(As Low As Reasonably Achievable)の考え方といいます。

 

(3)いかなる場合も個人の被ばくを線量限度以下に抑える

 

ここで確定的影響は、しきい線量以下に抑えることで影響を無くすように努めます。 また確率的影響についてもできるだけ線量を低くすることで影響を最低限に抑えるようにします。

放射線防護の考え方


(5)急性障害線量

放射線を全身に受けることを全身被曝、体の一部に受けることを局部被曝といいます。局部被曝は被曝した組織だけに影響が起こりますが、全身被曝では放射線に対して感受性の高い組織に起こる影響が問題になってきます。多量のX線やγ線を一時に浴びた場合でも200mSv以下では、臨床症状は確認されていません。

急性の放射線影響


SKYRAY INSTRUMENTの蛍光X線装置から照射されるエックス線レベルは非常に微量ですのでわざと人体に照射するようなことがない限りので安心してお使いいただけます。

※低出力0.2μSv/時程度のレベルです。例えば考えにくい環境ですが24時間92日連続でエックス線を照射したとしても

0.2×10-3(mSv/時)×24(時間)×92(日)=0.432mSv

と3ヶ月1.3mSv以下ですのでので、装置外では放射線管理区域も生じないレベルです。(ここでいう「わざと」とは、基本はサンプルが外れるとインターロックが働き放射線照射は停止しますので人に向かって装置を密着させてエックス線を照射するような場合を指します。)

■監修

・NBCR対策推進機構主任研究員 理事長 井上 忠雄

 

■文筆

・NBCR対策推進機構主任研究員 清水 俊博 (放射線取扱1種保持者)

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