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蛍光X線(EDX)分析装置

毒物劇物取扱者試験勉強法(3) ━ 憶えやすい項目を見つけ出そう!(劇物編@)


今回は劇物のお話です。通常毒物劇物取扱者試験対策本では特定毒物の後は毒物に入るのですが、今回は毒物を飛ばしました。勉強法(1)のページにて初受験で一発合格できたと書きましたが、実は前にも一度受験しようと少しだけ勉強をしたことがあります。その時、毒物のページに入ってシアン化合物や砒素あたりのところで廃棄方法・用途・毒性など覚えるのがいやになり勉強を止めてしまいました。落ちたことはないけど隠れた「不戦敗記録」があるわけです。そこで今回そのトラウマもあって気分を変えて毒物を飛ばして劇物の箇所を覚えることにしました。

人が独学で壁に当たるとき、それはその人の理解力が足りなかっただけが理由ではなく、
参考書との相性または集中力のバイオリズムが悪かった等様々な要因があるかと思います。
諦めてしまう前に

  • 参考書を替える

  • つまづいた箇所を後回しにする
等の些細な工夫を凝らすだけで行き詰まりを回避できることも多々ありますので、挫折しそうになった時はその箇所にこだわらず他の箇所から勉強してみましょう(遣り残した部分があると落ち着かないものですが、慣れが肝心です。



未修箇所を作らない

さて、几帳面な方が陥りやすいこととして 試験勉強において参考書の順番どおりに進めていき、例えば50ページ中の30ページまではよく憶えているけど残りが手付かずで終わってしまい、試験当日未修箇所の中から何問も出題されて悔やむようなことがあります。当然のことですがどんなに頭のよい人でも知らない問題は解けません。受験勉強では時間が限られていることが多いのでスタート地点から理解を深めながら進めることも大事ですが、試験当日までに一通りの勉強を終わらせるために各セクションにどれだけ時間を費やしていいかの見通しを立てなければならないと思います。つまり、[履修度]×[理解度]が同じだとしたら履修度60%・理解度90%で望むよりも履修度90%・理解度60%で試験本番に臨むように準備を進めていかなければなりません。

理論的には同じ点数になるように思えますが、履修箇所を多くして望む方が試験本番において得点の伸びシロがあるのではないかと思います。なぜなら毒劇はマークシート問題だからです。全く未修の問題に対してもヤマカンは張れますが、やはり履修の箇所を忘れてしまってヤマカンを張るよりも精度は確実に落ちます。 履修さえしていれば選択肢を見たら忘れていたことを思い出せるのです。また、未修だから学習速度が捗らない場合でもいっぺん回りを満たしてから再度のその箇所に取り掛かるほうが効率も上がるかと思います。空腹時に我慢して作業を進めるより食事を摂ってエネルギーを得てから作業する方が捗るのと同じです。


さて私の場合前述したように前回毒物で挫折したので、今回はその箇所は後回しにして特毒から始め、劇物についてはクロルピクリンから始め、ピクリン酸、ホルムアルデヒド、フェノール、クロロホルムと続けていきました。自分が購入した2冊の毒物劇物取扱者試験対策本にもこんな順番では並んでいません。与えられた順番で勉強を進めていくことより、自分なりに「これは試験に出る」とヤマをかけた場所から始めることで未修箇所が問題に出るリスクを下げようと思ったのです。実際、模試・各自治体から公表されている毒物劇物取扱者試験過去問でもよく出ていました。


前置きがすっかり長くなってしまいましたが、これから劇物の重要なものから見ていきましょう。
本サイトの趣旨はあくまで「膨大な暗記項目の中から暗記しやすい項目を見つけるお手伝いをする」ことであり、対策本のように各化合物の性状・用途・保存方法・廃棄方法・毒性・漏洩時の対応・鑑別法等を全てを網羅することを目的にはしておりませんので、弊サイト記事を読まれた後で必ず対策本で内容をご確認ください。


クロロホルム
MSDSへのリンク
四塩化炭素
MSDSへのリンク
構造式・示性式 CHCl3 CCl4
形状 揮発性の無色液体。蒸気は重い。蒸気に甘い芳香がある 無色透明で特有の芳香を持つ
重い液体。不燃性。
溶け方

水に溶けにくい 水にとけにくい。アルコールとは混和。
その他重要なポイント光により分解しホスゲンを発生する。ただし不燃性。

レゾルシンと33%水酸化カリウム
溶液
と熱すると黄赤色を呈し緑色の蛍石彩を放つ
油脂を溶解

アルコール溶液にジメチルアニリンおよび
ブルシンを加えて溶解し、これにブロムシアン溶液を
加えると緑色ないし赤紫色を呈する。
毒性蒸気に強い麻酔作用蒸気を吸入すると麻酔作用に続き、
精神の混濁、意識喪失、呼吸麻痺。
用途 冷媒の製造原料、溶剤、抽出溶媒 ドライクリーニングでの洗浄剤。
保管法 光で変質するので遮光容器に保存。 空気より重く低所に滞留するので
地下室などの換気の悪いところを避ける。
また空気や光で変質するので少量のアルコールを加えて冷暗所に遮光容器で保存。
廃棄方法不燃性なので可燃性溶剤と一緒に高温で焼却
不燃性なので可燃性溶剤と一緒に
高温で焼却

押しも押されぬメジャーどころから行きましょう。クロロホルムはポピュラーな抽出溶媒です。
四塩化炭素も無極性分子で油分抽出溶媒として以前よく利用されていましたが、毒性が高くまた「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」(1989年国際発効)の附属書 BのグループU物質(以下「附属書BU物質」という。)に指定されているため、また製造も禁止されたことから、分析用溶媒としての入手が困難になりつつあり代替が進められてきています。
(参照 環境省 法令・告示・通達「 海洋投入処分できる産業廃棄物に含まれる油分の検定方法の当面の扱いについて 」公布日:平成19年08月14日 環廃産発第070814001 号・環地保発第070814001 号)

両者CとClを3つ以上含み構造が似ているため、化学的性質も似ています。この組み合わせで「芳香」・「麻酔作用」をイメージしましょう。(あくまでイメージです。)クロロホルムは刑事ドラマなどでマスクにしみ込ませたもの嗅がせられて眠ってしまうシーンでおなじみです。四塩化炭素の利用クリーニング屋さんのあの独特なニオイがそうなのでしょうか?「重い」・「不燃性なので可燃性溶剤と一緒に焼却」というキーワードも共通しています。



ホルマリン
(ホルムアルデヒド水溶液)
MSDS
フェノール
MSDS
構造式・示性式

HCHO

フェノール構造式
性状 無色液体で刺激臭がある。 純品は無色結晶だが空気にふれると赤変する。
特異臭を持つ
溶け方 水・アルコールによく溶ける。 水・アルコールに可溶。
その他
重要な
ポイント
フェーリング溶液を加えて熱すると
アルデヒドがフェーリング溶液を還元して
酸化銅(I)Cu2Oの赤色沈殿を生じる
(フェーリング反応)

硝酸を加え、さらにフクシン亜硫酸溶液を加えると藍色を呈す。
潮解する・過クロール鉄溶液で紫色に変化。
6C6H5OH + FeCl3 → 3H+ + [Fe(OC6H5)6]3- + 3HCl

5%以下は普通物扱い
毒性蒸気が粘膜を刺激し、肺などに強い炎症を起こす皮膚に接触すると重い薬品火傷を負う。
用途 防腐剤・消毒剤 消毒剤・医薬品製造原料・合成樹脂
保管法 冷所ではホルムアルデヒドが重合し、
パラホルムアルデヒドを生成し混濁する。
空気や光に触れると赤変するので遮光容器に保存
廃棄方法酸化法か燃焼法燃焼法

両者ともに反応性が高く、有機合成化学工業上重要な化学物質です。いろいろな反応がありますが、毒劇で必ず問われるものとしてホルマリンのフェーリング反応があります。必ず憶えましょう。フェノールの「過クロール鉄溶液で紫色に変化」も識別法として重要ですので憶えましょう。

その他、ホルマリンは生物の組織標本作製のための固定・防腐処理に広く用いられます。「ホルマリン漬け」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか?とにかく臭気がすごく、臭気で粘膜・肺までやられるとイメージしましょう。
ホルムアルデヒドはヒトの粘膜を刺激するため、目がチカチカしたり涙が出る、鼻水が出る、のどの渇き・痛みやせきなど、シックハウス症候群の原因となる代表的な化学物質です。

また、毒劇ではあまり問われてないとは思いますが、この両者(フェノールとホルムアルデヒド)を重合させて熱硬化性樹脂であるフェノール樹脂(フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、ベークライト、石炭酸樹脂)が合成されます。またホルムアルデヒドは尿素とも反応してユリア樹脂を使います。



高濃度蒸気に麻酔作用。皮膚・目・粘膜に対する刺激作用があり、炎症を起こす。>
トルエン
MSDSへのリンク
キシレン
MSDSへのリンク
構造式・
示性式
C6H5CH3
C6H4(CH3)2

(o-キシレン)
性状 無色でベンゼン様の臭気を持つ液体。可燃性。
蒸気は重く低所に滞留しやすい。
無色で特有の芳香を持つ透明の液体。引火性・可燃性有。
溶け方 水に難溶
有機溶剤(アルコール、エーテル、アセトン)に可溶(混合)
水に不溶
アルコールに可溶
その他
重要な
ポイント
o-,m-,p-の3種類の異性体がある
毒性高濃度蒸気に麻酔作用。蒸気の吸入により頭痛、食欲不振等が見られる。大量では軽い大赤血球性貧血を起こす。
用途 溶剤、抽出溶媒、染料・香料・火薬などの原料。 >溶剤、抽出溶媒、染料・香料・塗料・農薬などの原料。
保管法 火気を避け、密栓して冷暗所に保存火気を避け、密栓して冷暗所に保存
廃棄方法燃焼法燃焼法

トルエン・キシレンともになじみの深い有機化合物であるかと思います。 両者いろいろな法律でその使用について規制されており、

トルエンは消防法[危険物 第4 類第1 石油類(指定数量200 L)]、労働安全衛生法[ 有機則 第2 種有機溶剤 名称等を表示すべき有害物(法第57条、施行令第18条)No.23 名称等を通知すべき有害物(法第57条の2、施行令第18条の2別表 第9)No.407 危険物・引火性の物)、毒物劇物取締法(劇物)、麻薬及び向精神薬取締法(指定3 条麻薬向精神薬原料)他で、

キシレンは、消防法(第4類第二石油類非水溶性液体)、労働安全衛生法[名称等を表示すべき有害物(法第57条、施行令第18条) No.7 の2 キシレン 名称等を通知すべき有害物(法第57条の2、施行令第18条の2 別表第9)No.136 キシレン]、毒物劇物取締法[第2条別表第2 劇物、 指定令第2条劇物 22−3(情報の提供物質)]他で規制されています。

特にトルエンは毒物及び劇物取締法施行令 第三十二条の二で(興奮、幻覚又は麻酔の作用を有する物) 「法第三条の三 に規定する政令で定める物は、トルエン並びに酢酸エチル、トルエン又はメタノールを含有するシンナー(塗料の粘度を減少させるために使用される有機溶剤をいう。)、接着剤、塗料及び閉そく用又はシーリング用の充てん料とする。 」と記載されていて、超頻出です。


クロルピクリン
MSDSへのリンク
ピクリン酸(トリニトロフェノール)
MSDSへのリンク
構造式・示性式

CCl3-NO2ピクリン酸構造式

形状純品は無色だが、
市販品はわずかに黄色の油状液体
強い刺激臭
黄色の針状結晶。
溶け方
水にわずかに溶ける、
アルコールに可溶
水・アルコールに可溶
重要な化学的特徴
催涙性爆発性がある
毒性粘膜を刺激、呼吸困難や肺水腫、
神経障害も出る。
組織を黄色に染める
用途土壌・穀物の殺虫・殺菌剤
試薬、染料、塩類は爆発薬
保管法 保管する場合は、外包装が未開封のものだけとする。 酸化剤から離して保管する。 容器を密閉して涼しい所、換気の良い場所で保管する。 施錠して保管する。火気厳禁。
漏洩時は回収物を乾燥させないよう
水分を含んだ状態を保つ
ことが重要。
廃棄方法 分解法
少量の界面活性剤を加えた亜硫酸ナトリウムと単三ナトリウムの混合溶液中で攪拌し分解させせた後、多量の水で希釈して処理する。

爆発を防ぐため、炭酸水素ナトリウムと
混合したものを少量ずつ燃やしたり、
大量の可燃性溶剤と燃やす
↑「ピクリン」と来たらまずは黄色、次にクロルピクリンで催涙性、ピクリン酸で爆発性を思い浮かべましょう。
クロルピクリンは容易にガス化し、催涙を伴う強い刺激臭がありますので、正しい取り扱いが必要です。毒劇法以外にも消防法でも規制があります。クロルピクリン工業会様のウェブサイトに詳しい記述があります。


ニトロベンゼン
MSDS
アニリン
構造式・
示性式
ニトロベンゼン構造式 アニリン構造式

形状 特異臭(苦扁桃様の臭い or 杏仁豆腐のような臭い)がする。
わずかに黄色を帯びた液体。吸湿性がある。
特異臭がする。
無色又は淡い黄色を帯びた液体。
空気に触れると赤変する。
溶け方水に溶けにくい。
エタノール、ジエチルエーテルに
極めて溶けやすい。
ヘキサン、クロロホルムなど多くの有機溶剤に溶解(混和)する。
水にわずかに溶ける
その他
重要な
ポイント
NO2が電子吸引性置換基のため
ニトロベンゼンがニトロ化する場合、
メタ位が優先的に反応する。
臭素水と反応すると
トリブロモ誘導体を生成するため
臭素を脱色する。
毒性吸入による障害が速く、めまい、チアノーゼ、
気分不快、嘔吐などから、意識障害となる。
経皮吸収も早いので手に触れないよう注意する。
血液毒であり神経毒であるため
血液に作用しメトヘモグロビンをつくりチアノーゼを起こさせる。
用途 アニリンの製造・香料の中間原料 染料
保管法 火気厳禁。火気を避け、暗所に保存
廃棄方法燃焼法燃焼法
上記2つも有機化学の学習において見ないことはない化合物です。毒劇ではあまり問われることはないと思いますが、ニトロベンゼンがメタ配向性をもつことは重要です。
毒劇の識別の問題で問われそうなこととして黄色を帯びていることが挙げられます。硝酸もキサントプロテイン反応で黄色を呈しますのでニトロ基があれば黄色をイメージできるのではないかと思います。
またアニリンはフェノールと同様赤変するという特徴があります。色に関する問題は様々な形で出題されますし、拠り所にもなりますので覚えていきましょう。



酢酸エチル
MSDS
構造式・示性式

CH3COOC2H5
形状 無色透明の可燃性液体。果実様の臭気を持つ。
溶け方 アルコール・エーテルに溶けるが水にはわずかしか溶けない。
毒性 蒸気は呼吸器を刺激し、麻酔作用がある。
(毒物及び劇物取締法施行令第5章の2で
「興奮、幻覚又は麻酔の作用のある物」と規定されている)
用途

溶剤・香料
保管法

可燃性なので密栓して冷暗所に保存
廃棄方法燃焼法
↑溶剤を使うときの甘いニオイと可燃性からイメージできます。
また酢酸エチルは水にあまり溶けない引火性液体で比重が軽いのですが、このような性質を持つ化学物資の漏洩時の対処法で揮発を避けるために液表面を泡で覆うという問題は出題されますので憶えましょう。



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