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FTIRを理解するための数学的知識(6) ━ フーリエ変換の赤外分光への適用フーリエ係数、フーリエ変換およびフーリエ逆変換と順を追って進めてきましたので、 いよいよフーリエ変換がどのように赤外分光法に適用されるかについて説明して参ります。 ![]() 上記構造のマイケルソン干渉計に強度I0の単色光が入射した場合、 ビームスプリッタのこの波長における反射率と透過率をR0、T0とすると 検出器側には2R0 T0 I0の強度の光が進み(R02+ T02)I0の光が光源側に戻ります。 [※両者の和は(R02+T02)I0+2R0T0I0 = (R0+T0)2I0であり、ビームスプリッタの吸収がなければ R0+T0 = 1なので右辺はI0となり光のエネルギーは保存されます。] ここで移動鏡が動くことで2光束の光路差xが生じます。その時の位相差をδとすると、検出器側では
ここでビームスプリッタに吸収がないと考え、かつR0 = T0 = 0.5とすると、 ![]() ここで単色光の波数をσ0とおくと、光路差δはδ=2πxσ0の関係にあるのでこれらを式(a)に代入すると、
以上は単色光源を念頭におき、マイケルソン干渉計の2光束間光路差を連続的に変えた場合の、 干渉計出力側での信号変化を考えたものです。実際には光源は幅広いスペクトル分布を持つので、 刄ミの波数幅を持つ構成スペクトル要素に対する式(b)の和と考えてよく、 式(c)はスペクトル強度分布B(σ)に対して一般化した 上の式でx = 0とおくと、 光源からのエネルギーの半分は元の光源側に戻って行くので インターフェログラムとは干渉出力波形から直流分を引き去った出力のこといいます。 ![]() 上の式に代入して、σの区間を広げるとインターフェログラムは一般化でき、 ・・・(d)と書くことができます。 さて、オイラーの定理より よりθにcos2πxσを代入した実部に注目すると、 ですから、インターフェログラムの式の実部は となりフーリエ変換できる形に近くなりました。「近く」と表現したのはフーリエ変換の積分区間は-∞から∞であるのに対し、 上の式の積分区間は0から∞になっているためです。 数学的にはF(x)とB(σ)の偶関数成分と奇関数成分に注目しそれを積分すると 偶関数成分では積分値は正領域だけの値の2倍、 奇関数成分でプラスマイナス0になるなど細かく考慮していくわけですがここでは省略し、最終的には と物理的な値同士でフーリエ変換・逆変換の対応しているためインターフェログラムF(x)がわかれば 周波数σごとの強度がわかることになります。 FT-IRでは干渉光の強度[インターフェログラム=F(x)]が赤外検出器で検出され、 アナログデジタル変換ボードでデジタル信号に変換されてコンピューターに出力されています。 あとはxをプロットしていけばB(σ)を計算できるわけですが、この移動鏡の光路差は単色レーザーと 移動鏡制御ボードでモニタしています。 ここで注目すべきは「分光」という物理的作業がなされていないことです。 「FT-IRではコンピューターで分光する」というのが上記フーリエ変換が分光の代わりを果たしているという意味です。 [補足イラスト] ![]() [出展] 学会出版センター1985刊 「フーリエ変換赤外分光法 化学者のためのFT-IR」 平石次郎 編 数学関連よみもの
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